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一瞬にして教室内がざわつく。
(やっべ~つか、痛ぇし...)
机におでこをぶつけた俺は、恥ずかしさのあまり顔を上げられないでいた。
「さ、更科君...大丈夫?」
隣の奴が恐る恐る声を掛ける。
(やめてくれ...頼むからそっとしといてくれ...)
「具合でも悪いのか?」
前の奴まで...
「先生、葉月朝から調子悪いって言ってたので、僕保健室連れて行きます!!」
この声は遼か!?ナイスアシスト!!
自席を立って俺の席にパタパタと足音が近づいてくる。
「葉月っ、立てる?保健室行って休もう?」
遼...なんてイイ奴!!
「あ...うん、ちょっと目眩がするけど、大丈夫ありがとう...」
えーっと、葉月っぽく葉月っぽく...
「すみません、先生。大丈夫なんで授業続けて下さい。」
そう言って俺と遼は教室を後にした。
「遼ナイス!!マジ、サンキュな!!」
ニカッと笑うと遼は呆れた顔で呟く。
「やっぱり柚樹なんだね...」
「あ、バレた?」
「黙ってたら多分わからなかったけどね。葉月授業中寝たりしないし、きょんのこと"きょんいち"なんて呼ばないしね。」
「んだよ~つまんねぇ!行けると思ったんだけどな~」
「いや、多分普通にみんな葉月だと思ってるから大丈夫でしょ?でも、なんだろ。微妙にやっぱ違うよね。」
「そっか~...」
昔から二人一組みたいな扱いをされることが多いけど、俺は俺、葉月は葉月という扱いに、嬉しくなった。
「遼やっぱ、イイ奴だな~!!」
ガバッと抱きつく。
「え、あ?ちょっと!!も~っ!!」
そう言って背中をポンポンする遼であった。
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