317人が本棚に入れています
本棚に追加
/107ページ
side:柚樹
ある日の週末を一時帰国した両親と久々に家族水入らずで過ごした俺たちは、再び学園に戻ってきていた。
そして俺たちの日常はまた新たな週を迎えていた。
相変わらずの寝起きの悪い葉月を起こして、一緒に洗面所に並んで立っていた。
葉月はついた寝癖を気にして、さっきから髪の毛をワックスで撫で付けているものの上手く決まらないので唸っていた。
「葉月っ、かして?」
「へ?」
両手にワックスを延ばして、葉月の頭にワシャワシャと揉み込んでいく。
「う、わわっ!?」
そして、指先で捻るようにしながら、整えていく。
「でーきたっ!」
鏡の中には、同じ顔でほとんど同じようなヘアスタイルの人間が並んで立っている。
当たり前なんだけど、こうやって改めて見ると双子だと実感する。
「こうしてると、僕たち似てるね!髪型違うとそうでもないかと思ってたけど。」
葉月が感心している。
こんな風に同じ事を考えてしまうところがまた双子なんだな。
「ホントだな。」
鏡越しに目が合うと、お互いニッコリと微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!