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「……発動条件があるのかな?」
「私はそう踏んでいます。無条件に力を振るえるのならば、世界はもう少し楽しいことになっているでしょうから」
……だからといって、こんなに無防備で良いのだろうか。
今回やったことはとてもシンプル。
背後から一撃を喰らわせ、気絶したところをこの廃病院まで同行願っただけ。
「納得がいかないっていう顔をしていますね」
「そんなことは……ない」
「秘めている力がすごくても、彼はただの学生です。訓練を受けているなまだしも……それは酷というものですよ?」
分かっている。そのおかげで、スムーズにいけたのだから。
「ふふ。……あぁ、申し訳ございません隼垣さん。ずっと猿轡じゃかわいそうですね。今外します」
彼の目の前にしゃがみ込んだプロジアが隼垣の後頭部辺りに両腕を回した。
……見ようによっちゃ抱きしめているみたいだな。
実に手際よく、彼女は隼垣の猿轡を外し終えた。
「……お前らの目的は何だ? 俺の命……ってわけじゃなさそうだな」
第一声がそれとはまったく恐れ入るよ。
どうやら彼も相応の修羅場を潜ってきたのだろう。
怯えず恐れず、臆せず。
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