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「水瀬さんのばぁーかっっっ!!!」
開口一番、杏璃は水瀬を思いっきり罵った。
いつもなら即座に反発する水瀬だが、今回ばかりは自分の非を認めているのか甘んじて罵倒を受け止めている様子。
無理もない。彼女のミスで隼垣涼一郎が誘拐されてしまったのだから。
「ま、まあ。落ち着いてください、舘川さん」
「そうそ。ここで水瀬ちゃんの責任を追及したって隼垣涼一郎は返ってこないよ」
杏璃を制止したのは彼女の親友で日本のとっても偉い家系のご息女。東京のとある女子高の制服に身を包んだ秋篠古都。
そして隼垣の命を狙っていた《姉妹》の片割れで今は防衛省第零課の一員である恋澄アンヌ。
二人に宥められ杏璃はひとまず言葉を落ち着けた。
事態が最悪の状況ならばまだしも、零課が掴んだ情報ではまだそうでもないらしい。
隼垣が誘拐された程度で大きく取り乱す杏璃でもなかった。
「……りょー君が誘拐されたって情報、本当に正しいの?」
「はい、確かな情報です」
答えたのは愛良アンナ。零課に属し元々は隼垣の命を狙っていた《姉妹》のもう一人の片割れだ。
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