chapter02(河山著)

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「隼垣涼一郎を誘拐したのはブラックホークス。レオパルド社の所有する私設武装集団です。防衛省のデータによると危険度は最上位のレベル5……ですか」 「レオ社は政府にも顔が効くから無闇に手出しも出来ないし、ブラックホークスは強力な能力者が大勢いるからねー。ぶっちゃけ最悪な相手かもしれないよ」 「でも、隼垣さんは生きてるんスよね?」  訊ねたのは隼垣の後輩である山本和樹だ。 「それは間違いないと思う……。向こうには隼垣を殺す理由がないもの」  水瀬はいつもの自信を少し潜めながら、それでもそう言い切った。  ブラックホークスが隼垣を殺す理由は思い浮かばない。  日本にとって重要な意味を持つ隼垣をレオ社の私設組織であるブラックホークスが殺したとなれば、レオ社は日本市場を失う事になりかねないのだ。  そのデメリットに見合うメリットが隼垣を殺す事によって生まれるとは考えにくかった。  隼垣は殺されていない。 「大方、勧誘でもされてるんだと思うわ」 「手荒い勧誘なのですね……」 「でもりょー君のことだから絶対に断るよ……?」 「こっちだって誘いに乗られたら困るわよ。……でも、断ったらどうなるかわからないわね」
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