手紙

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生きていて死にたいと思う事はたまにある。でも黒月のその言葉はそんな生半可な言葉じゃなくて重みが感じられた。   悩んだ。悩んだ挙句の末に俺は黒月の死の希望に打ち負け、ただその場で涙を流していた。   黒月には死んでほしくない。でも、こんな死への渇望しか持たない人形になんて言葉を掛ければ良いんだ。   彼が何年も苦しんできた日常をずっと見続けていた俺だからこそ言ってやれる事は沢山あるのに言葉が浮かんでは消えていく。   そして、動き出す黒月。その足はゆっくりと屋上の端へと近づいていった。   止める足はもうない。このまま死なせてやった方が黒月にとっていいはずだ……。 「なぁ、黒月。今まで一度も助けてやれなくてすまなかったな」   黒月が死ぬと分かった途端、俺は自然にそう口にしていた。 一言、死ぬ前に謝っておきたかったんだ。それは黒月の為なんかじゃない、自分の為だ。自分の抱える罪を軽くしたいが為に言っただけだ。けれど……。 「……どうしてお前が謝る?」
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