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出会った事は無く、話した事も無い。けれど、僕は彼の名を知っていた。
あれは四年前の事だっただろうか。
当時の自分が経験した辛い記憶を思い返すだけで吐きそうになる。でもあの事を今ここで思い返しておきたい。
いじめられる側が悪い。そう意思を調教さるように何度も何度もくる日もくる日も教師の目を盗んでは暴力を振るわれた。
対抗する力なんてない。味方なんていない。この教室には僕をいじめる人しかいないんだとそう思っていた。
机の上にはうっすらと落書き。『死ね』。
上履きはいつもなく、教科書は汚れ、皆は嘲笑う。
机とイスがあるだけマシと思えと、僕をいじめる人達は口々にそう言った。
毎日が苦しい。でも学校は休めない。
僕は父が処刑されおかしくなった母を怒らせないように毎日学校に通う。そして、いじめられる。
そんな毎日が続いていた時、ふと給食の残飯が入れられた机の中に手を入れると、一通の封筒が入れられていた。
普通なら机の上に言いたい事を落書きするはずだ。わざわざ封筒に入れてまで手紙にするなんて怪しい。送り主は……空野はるき?
僕は何かあると思い、懐に隠し持つと教室を飛び出した。
誰かに後をつけられていないかを確認した後、封筒を開封し、手紙を開ける。そこには一言、『ごめんなさい』と書かれていた。
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