手紙

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空が見える。雲一つない青空だ。 見下ろすと、そこには運動場が映り、体育の授業を受ける生徒達の姿がある。   僕、黒月海翔(くろづきかいと)は、そこにある筈だった自分の居場所を遠目に見据え、一人、屋上の笠木に腰掛けていた。   座り心地は悪く、バランスを崩せば屋上から地面へと真っ逆さまに落ちる。   そうなればこの命もようやく絶つ事が出来るだろうと、風に身を任せ、再び空を見上げた。   青が広がる空に眩く光り輝く太陽。それは誰にも等しくこの寒空を暖かく照らす。   まだ僕は生きている。   生きている暖かみがある。   でも、心の中はどこか冷め切っていて、希望や欲望が生まれては消えてゆく。   生きたいという欲望がなければ、死にたいという希望もなく、自らの運命を何かに委ねて、僕はこの世界に漂う。   風の吹くまま、バランスが崩れて身を投じるのもよし、このまま誰に見つかる事も無く、ここでじっと空を眺めているのもよし。   ただ僕は、無限に広がる空を眺め続ける。   ……ふと、冷たい風が背中を押した。
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