手紙

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十一月半ばになると体育の授業は毎度、持久走になる。   俺達男子一同は運動場の端でバドミントンをする女子一同に腹立たせながらただ走り続けていた。   勿論、俺、空野陽輝(そらのはるき)もその可哀想な男子一同の一人である。 「はぁっ、はぁっ。後何周走ればゴールなんだ?」   俺は突然横にやってきた一人の友人に声をかける。 「陽輝、後三週だ。つまり、後千二百メートルになる」   何一つの疲れも見えない平然とした顔をした友人はまだ力が有り余っているご様子で。 「なぁ陽輝、ここら辺で競争と行こうじゃないか」   予想していた事を淡々と述べやがった。 「はぁ?」   俺の友人と呼べる眼鏡君はどうやら競争が好きらしい。で、いつも持久走が徒競走になるのだが、 「いいや、今日の所は止めておくよ。先に行け、俺は後から追いかけるから」   今日はそんな気分じゃない。別に体力がないとか単にやる気がないとかそういう理由ではない。何か違和感がするのだ。   体育の授業中に感じた違和感。何かが足りない。けれど誰もその何かに気づいていない。いや、気づいていてもその何かに触れる事は決してしない。初めからそれはないものとしているかのように。 その違和感が引っかかって気分も高揚しないのだ。
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