手紙

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去年の入学式にある人が流した噂が彼を殺し、この学校からその存在を粉々に砕いていった。 初めは小さな噂に過ぎなかった。 けれど、その噂がだんだん大きくなり、広まって、やがて生徒達は口々にこういい始めたのだ。 『連続殺人犯の息子、黒月海翔は初めからこの学校にはいなかった』   小学校の頃から彼、黒月を知っていた俺は勿論、彼の素性を知っていたし、おそらく彼はまた居場所を失うのだと確信していた。   彼の助けを呼ぶ声は聞こえていた。でも、誰も彼を助けようとせず、ただその一言から彼は死人となった。   去年の事でも昨日のように思い返される程、その時の彼の顔は忘れる事が出来ない。   泣く事も出来ず、ただその事を受け入れた感情の見えない機械人形。   俺は記憶の隅に忘れ去ろうと思っていた出来事を思い返し、涙を隠すよう空を見上げた。   雲一つない青空だ。   東に見える太陽から目を逸らすようにして視線を学校の屋上へと向ける。 「?」   人影? あんな所に何で? 「えーでは、今日はこれで――」   まさか!
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