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その思いと同時に走り出していた。
先生の言葉を聞き入れず、俺はただ一直線に屋上を目指す。
階段で躓き、持久走の疲れで上手く動かない足。手すりを握り、どうにか辿り着いた。
屋上の扉は閉まっている。ではどうやってあいつは入ったんだ?
周囲を見渡すと、ふと屋上の外の光景が見える窓ガラスが目に入った。
そこには細身であればギリギリ通れるぐらいのガラスの割れた跡があった。おそらくここを通ってあいつも屋上の外へと出たのだろう。
考えている暇はない。
俺の予想が正しければあいつは『死のうとしている』んだ。
割れた窓ガラスを通って屋上の地に着くと、ちょうど学校のチャイムが鳴り響いた。
「間に合ったか?」
周囲を見渡し、あいつを探す。
「……!?」
視界の端に上半身をふらつかせる男が目に入った。落ちる、いや落ちようとしている。それが誰かなんて確認する余裕なんてない。
「おい、間に合ってねぇじゃねぇかよ!」
たぶん、あいつだ。あいつに決まっている。
そう考えるよりも先に体が動いていた。
間に合ってくれ。
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