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感じ、屋上の地を蹴り、腕を伸ばす。
届い……た!
服の襟をどうにか掴めた。俺はそのままの勢いで、屋上へと押し戻す。
重い荷物を持ったような感触はあったが、中学生一人の重さがまるで感じられない。おかげで軽々とその落ち行く体を屋上の上に留める事が出来た。
俺は安堵と共に屋上に転がる男を睨むと、
「何をやっているんだ! あともう少しで死ぬところだっただろう!」
男は直ぐに気を取り戻し、こちらを睨み返してきた。ここでようやくその男の正体を知る事となる。
「!!」
細身、栄養を摂っていないかのような痩せ細った顔をした男、黒月海翔がそこにはいた。
しばらく見ない内にずいぶんと様変わりした様子である。去年のお前はもっと生き血が通った姿をしていたはずだ。
様子を伺っていると、黒月はにっこりと笑い、一言俺にこう告げた。
「死なせてくれ」
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