第12話

8/30
前へ
/30ページ
次へ
この人も仕事の件でここに呼ばれたクライアントのうちの一人…? 「はじめまして。あなたが落合七海さん?」 「えっ? はい、はじめまして…」 にこやかな笑顔で手を差し出して来たので つられてあたしも手を出し、 わけがわからないまま握手を交わす。 なんであたしの名前を知ってるのだろう。 「そうですか、あなたが…ね」 「あの…」 あたしが次の言葉を捜していると、 彼女の笑みが瞬時に消えた。 「これ以上、 圭介さんを惑わすのはやめてもらえません?」 「え…? あの、」 「私、婚約者なんです」 呼吸をするのを、一瞬忘れた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1499人が本棚に入れています
本棚に追加