2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「係長、最近常紋トンネル、良く出るらしいですね・・・・・・」
先に昼飯を食べ終わった吉村が唐突にボソッと言う。
「ジョーモン?トンネル?なんだそりゃ、どっかのトンネルの名前か?」
西田はチャーハンをかきこみながら、気のない返事をした。
「ええっ?マジっすか?常紋トンネルの話知らないんですか!?」
昼飯時で込んでいる定食屋であることに、彼なりに周りに気を使いながらも最大限の驚きを口にした吉村だったが、すぐさま理解したかのように静かに話を継いだ。
「ああ、係長は札幌出身ですからねぇ。知らなくても別におかしくはないか・・・・・・。ただ結構有名な心霊スポットですよ、北海道の中じゃ、いや全国的にも結構有名みたいですが」
子供の頃から、特別心霊やら超常現象に興味のない西田としてみれば、そう言われたところで何処吹く風であったが、部下が折角しはじめた話の腰を折るわけにもいかず、多少興味のある体を装う。
「心霊スポット?ってことは出るのはあれか?」
「ええ、まさにその幽霊ですよ幽霊」
「で、それはどこにあるんだ?」
「となりの生田原ですよ。と言ってもほとんど留辺蘂でもありますけど」
「あそこら辺はたまに車で通るが、トンネルなんかあったか?」
「いや、道路じゃなくて鉄道、JRですよJR」
西田の質問が終わる前に、吉村が話を遮った。
言われてみれば、JRに乗ったときに生田原と留辺蘂の間で長いトンネルを通ることがあったのを思い出す西田。
「ああ、あそこか・・・・・・。確かにちょっと長いトンネルがあったな。そこに出るのか」
最初のコメントを投稿しよう!