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「…えっと、名刺は持ってないんですが…僕はやすい探偵事務所のジョウです。」
奈緒子は驚きの表情を見せた。
「やすい…探偵事務所…って約一年前にオーナーの…」
「そうです、一年前に師匠は亡くなりました、その後を僕が引き継いでます…」
「そうよね…亡くなっていたわね…でも、弟子がいたなんて聞いてないわ…いや、待って噂で聞いたことが…確か記憶喪失の男性を…」
「そうです、二年前僕は師匠に拾われて、それから、お世話になってました…」
「そうだったのね…記憶が戻っていなくなったって、噂が間違いだったのね…でも、貴方は…いえ、ジョウさんの記憶は戻っているのでしょう?」
「いいえ、二年前より前の記憶はありません。」
「え?じゃあ生活とか色々不便でしょ?」
「あ、免許証とかは、ありますよ、只、覚えてはいないけど、身元ははっきりしてます。」
「そうなの、いきなり込み入った事を聞いてごめんなさい…ジョウさん…ジョウって読んでいい?」
「はい、構わないですよ。」
「それでは、私の事も奈緒子って読んでね…それと、私は調べていたんじゃないの、神崎衛さんに脅迫状が届いて、相談を受けて見張りをしていたの。」
「依頼内容明かしていいんですか?」
「ジョウ…協力していきましょう、やすい探偵事務所の貴方を信用したから話したのよ。」
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