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書類を先生に渡す為に私と葉月は廊下を進む。ただ、会話がない。それが苦しい。
「……………ね、ねぇ葉月」
無視されるのも覚悟で話し掛けてみた。葉月の応答を待ってみる。
「………何」
ズキっと胸が痛い。だって葉月がこっちを見ないで冷たく言うから……。今までならきっと笑ってこっちを見てくれる。
「………んで……何で冷たくするの!」
頭の中では落ち着けと繰り返すけど体は違う。持っていた書類を離して葉月の制服を掴む。目頭が熱い…………泣いてるんだ。
「…………織羽」
「…….っ、私だってもうどうしたら良いか分かんない! 葉の事も心配だし辛い……でも……それよりも葉月に冷たくされる方が辛いよ…」
気付いたら葉月の胸の中で泣いてた。散らばった書類をふんずけてても今はどく事が出来ない。こんな廊下で泣いて……恥ずかしいよ。
「……ごめん、織羽。泣かせるつもりは無かったんだ…………ただ、本当に危ないから」
あぁ、葉月は本当に私の身を心配してくれてたんだ。馬鹿だな私。
「葉月……ごめんなさい。次からは危ない事をしないように気を付けます」
「…うん、分かった」
そう言っていつもの笑顔で私の頭を撫でてくれた。それが凄い嬉しくて私は嬉し泣きしてしまった。
「咄嗟にとしても、ごめん。書類落としちゃって」
「仕方ないよ……それにお互い様だろ」
仲直りした私と葉月は床に散らばった書類を掻き集める。全部を拾い終わって職員室に向かおうとした時、
「き、聞いてるのかお前達っ」
先生の怒鳴る声が聞こえた。職員室からだ。今リアルに誰かが怒られてるみたい。
「……うわぁ……入りにくいなぁ」
「そうだね…………少し待とうか」
葉月の意見に賛成して職員室の壁に寄り掛かる。その間にも説教は続いてるようで絶えず怒号が聞こえる。
「おい、待て! まだ話は終わってないぞ! 待ちなさい!」
一方的だった先生の怒号が変わった。そして職員室のドアが開いて中から柄の悪い生徒がゾロゾロと出てきた。
「え…………嘘っ」
最後に出てきた人物は私達がよく知る人物だった。
「………葉……」
「………っ!」
顔に何個もの絆創膏を付け、手も傷だらけ。生徒会に居たあの頃の葉はどこにも居なかった。
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