episodeー葉ー

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「………」 少しの沈黙が続く。この沈黙の中で私はすごく後悔していた。誰にだって知られたくない過去がある……私だってあるんだもん…なのに私は… 「ごっ、ごめん原口さん!今の質問は取り止め!……ごめんね」 謝っても許して貰えないかもしれない… 「…私、織羽の事もっと知りたい。織羽も私の事もっと知りたいと思ったんだよね?だから…話すよ」 原口さんはそんな事を思ってたんだ。なら、私も私の過去を話そう! 「……私ね、小さい頃までは九州に住んでたんだけど父親の転勤と一緒に家族で東京に来たの。でも東京は恐ろしい場所だった…」 息を呑む。一体何が起こったの? 「……父親は会社をリストラされ、自殺。母親は一人で私を育てようとしてたけど私が小学生になって初等部に入学した時、私を捨てた」 捨てたという言葉は人間に使う言葉じゃない。ましてやまだ小さかった原口さんはすごく悲しかった筈だ。 「その時から私は狂った。喧嘩もよくするようになり友達は作らず一人で居た。そして初等部最後の日に初めて葉君に出会ったの」 これは幼い頃の思い出…大切な思い出
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