起・源

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海だけに、心が洗われる気分になるほど美しい水中。 オイラの目的はサザエやアワビだ。 沖の岩場まで泳ぎ着くと、大きく深呼吸を2度3度し、一気に潜水する。 潜る度、獲物を捕獲できない潜水はないぐらいついていた。 ただ1度を除いては。 その潜水は非常に不可解だった。 少し張り切って、より沖の岩場からサブン! と飛び込んだ瞬間。 『キ――――ン』 不思議な音が聞こえて一瞬視界が視えなくなったが、直ぐに色とりどりの海中に戻った。 でもこの後、水掻きもしていないのに、体が水中の奥深くに沈んで行くんだ。 何故か不思議な潜水に身を任せていると、どんどんどんどん体が石にでもなったかの様に沈み込んで行った。 海面から20メートルぐらいに差し掛かった頃、このままじゃマズいんじゃないか? と思い、身体への水圧も凄まじいものになってくる。 呼吸もだんだん苦しくなるが、何故か『私はあなたをみています』という言葉が脳の奥深くに突き刺さっている。 海面を見るとすでに30メートル程潜っている。 いよいよ呼吸が危機だ。 オイラはどこへ向かっているんだ?
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