第3話

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さすがに、もう帰ったよな…。 自分の家に帰ってきたのに、何故か後ろめたい気持ちになって、玄関に置いてある靴を確認してしまう。 …はっ。何でだよ。 俺がコソコソする意味わかんねー。 そう思い直して、自室へ向かった。 ドアを開けると、誰もいない。 またしてもホっとしてしまう自分がいる。 …なんか調子狂ってるよな…。 今まで抱いたことのない感情に支配されて、俺が俺じゃないみたいだ。 何なんだよ…。これ。 すると、ドアが静かに開き、しゅんが入ってきた。 「夏樹。さっきはごめん…。 俺、取り乱しちゃってさ…。 アイツ…」 「べ、別に気にしてねーし。 てか、今気持ちよく寝てたんだから話しかけんなよ。」 正直、しゅんが謝ってきたのには驚いた。 いつもだったら、しつこく怒り続けてきて、俺もキレて大喧嘩…ってのが、お決まりのパターンなのに。 今日は、そうして欲しかったのに…。 何で謝るんだよ。 それに… しゅんの口からあの人の話を聞くのは何となく堪えられなくて…。 咄嗟にしゅんの言葉を遮った。 「…そっか。ごめん。」 しゅんはそれ以上何も言わなかった。 …結局、この夏の間、俺があの人に会うことはなかった。
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