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「…終わんねー。」
いつものことだけど、夏休みもあと3日だというのに、俺の宿題は真っ白なままで…。
当てにしていた奏とは、あれ以来顔を合わせていない。
意地っ張りの俺は、こういうときどうやって相手に接したらいいのか分からない。
しゅんに手伝わせるか…。
うーん。それはものすごく大きな借りを作ることになりそうだし…。
冬海…。いやいや、さすがに俺の方が頭いいだろ。
どうでもいいことをごちゃごちゃ考えているうちに、時間ばかりが過ぎていく。
「あー、もうっっ!」
白紙で宿題を提出する方向に気持ちが傾いたとき、部屋のドアが開いた。
「…だから、なんであんなとこにいたんだよ。」
「…。」
「…あ。」
奏…。
奏がしゅんと一緒に入ってきた。
一瞬目が合うけど、すぐに反らしてしまい、気まずさ倍増。
もー、俺ってどーしよーもねー。
「おう、夏樹、いたのか。
こいつさ、何でか知んねーけど、うちの前で蹲っててさ。
びびったよー。なんかずいぶん前からいたみたいでさ。熱中症にでもなったんだろ。この暑さだし。
あほだな。」
「あほだなって、奏、大丈夫なのかよっ?
なんでそんなことしてんだよ?」
「さっきから聞いてんだけど、全然話さねーの。
コイツ。あれ?まだ実は具合悪かった?」
バターンっ。
しゅんが言い終わらないうちに奏は派手にひっくり返った。
「うわーっ、かなでー!!」
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