第1話

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しゅんと俺は同じ部屋を使っている。 去年は受験生だったから個室を与えられたけど、今年は冬海が中学受験とやらをするらしく、しぶしぶ大部屋行き。 しゅんと一緒なんていつもはかなりうざいんだけど…。 「ただいま…。」 なるべく普通にドアを開けた。 「わっっ!」 いつも声のデカイしゅんが一層大声を出して、振り向いた。 「な、な、なんだよ。 バイト、もう終わったのかよ?」 「わりーかよ。 … …ってか、その人、大丈夫なの?」 しゅんの向こう側に見えたその人は、胸を押さえて俯いていた。 よく見ると、透き通るような白い肌をしていて、胸を押さえている手はすごく華奢だった。 「…え? あ、ゆ、ユキ! 大丈夫か? 落ち着け。な?」 いつもは何があっても動じないしゅんが尋常じゃなく焦っている。 「ごめん、びっくりしたよな。 退院したばっかなのに…。 ほんと、ごめん!」 何が起きているのかさっぱりわからず、俺はその光景を不思議な気持ちで見ていた。 しゅんて… こんなヤツだったっけ…? 「おいっ お前が突然帰ってくるからだろ! こいつが落ち着くまで、お前外出てろよ!」 「なんでっ…」 とんだとばっちりじゃねーか! 「ふざけんなっ。 さっさと出てけよ!」 「…ごめん…なさい…」 苦しげな表情で顔をあげたその人を見たら、俺は何も言えなくなってしまった。 綺麗すぎて…。 儚すぎて…。 「…わかったよ…。」 俺は力なく返事をして部屋を出た。
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