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「あー、面白かったー。
そろそろ帰るかぁ。
宿題の邪魔しまくったし。
名残惜しいけど。
あ…
そうだった…」
奏と遊んでいたら、すっかり家での出来事を忘れていたけど、突然あの人の顔が頭を過った。
「どしたの?」
なんだか急に気持ちがモヤモヤして、誰かに聞いてもらいたい気分になった。
「…あの…さ。
奏は、彼女とか…
いんの?」
「えっ?えっと、その…。
なんで?突然?」
「んだよ。いんのか。その慌て方、すっげーあやしい。」
「ち、ち、ち、違うよ。
いない。いるわけないじゃん。
…僕なんて…。」
「…何で?
お前、優しいし、顔だって悪くないし…
ちょっと童顔だけどさ。
しかも、共学だろー?
あ、じゃあさ、好きな子とかはいるだろ?
な、な?いるだろ?」
「……」
「やっぱなー。
どんな子?
俺…」
「ナツ。僕、宿題するから、もう帰って。ごめん。こんな時間だし。」
「え?なんだよ。急に。」
「ごめん。」
奏のいつもとは違う表情にさすがの俺も少し気持ちが怯む。
「…っ。
わーったよ。悪かったな。邪魔してさ。
じゃーーなっ」
バタンっ。
わざと勢いよくドアを閉めて駆け出した。
…ったくなんて日だよ。
2回も追い出されて…。
ちきしょー。俺が何したってんだ。
何なんだよっ!
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