~Fitima Ein Crime-1~

5/9
前へ
/28ページ
次へ
目を開けると、再び体の自由が利かなかった。 次は裸の状態で、暗い部屋にいた。 また施設へ戻ったのかと思ったが、見慣れない場所だ。 指先が微かに動くのを体で感じると、自分の手を見た。 拘束具が付いている。 「目が覚めたか?」 驚いて目の前を見る。 先ほどのフードの男が経立っていた。 「気分はどうだ?」 「…。」 少年は周りを見る。 先ほどの4人が後ろで見ている。 「……ここ…」 「神殿の地下室だ。」 「ちか…」 「言わば、旅の終着点。」 男は少年の髪の毛を鷲掴みして、顔を上げようとする。 痛みで首があまり動かなかった。 「お前は闇の谷から来たんだな?」 「…」 「谷について知っている情報があれば言え。」 「…しら…ない。」 「そうか。」 フードの男は手を放した。 すると、両手に感じ黄色に光る巨大な刀を手にした。 地面に叩きつけ、凄まじい音を響かせた。 「では、これにて用済みだ。」 「…しぬ…?」 少年は顔をゆっくりあげる。 「そうだ。」 「……おれ……ようやく……あそこから…」 男は刃を突き付けてきた。 少年は男を見つめた。 「……いやだ…。」 少年は拘束具で繋がれている手を伸ばそうとした。 「それは残念だな。」 「…おいしいもの…たべて……遊ぶんだ……」 「…。」 「いきて…たいよ…」 男は少年の顔を見る。 「…お前。」 フードの男は刃を下ろし、少年へもう一度近づいた。 顔についている泥をふき取り、顔をよく見る。 白い肌、茶色の髪。赤い目。 「……。」 男は拘束具を外す。 「な、何を!?」 後ろにいた男が叫ぶように言う。 「気が変わった。この少年を俺の部屋に通せ。」 「し、しかし…クライム様。」 「神官には俺から伝えておく。良いから言うとおりにしろ。俺はそこまで気が長くないんだ…」 男の眼が赤く光ると、4人は慌てて少年の元へ駆け寄った。 少年はすでに意識がなかった。 フードの男は先に姿を消すと、4人は彼の部屋に少年を通した。 あまりの汚れている姿に、最初は濡れたタオルで汚れを落とし、服の代わりにバスローブを着させてソファに横にした。 彼を残し、全員部屋を出て行った。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加