~Fitima Ein Crime-1~

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少年はフィティマの言葉に戸惑う。 「光の国と言われても…。俺にはよく…」 「お前は、アルケミー・ウェポンだろ?闇種族に関して何も知らないとなると、長い間幽閉されていたみたいだな。」 「俺は生まれた時から施設にいた。」 「そうか。」 フィテイマはもう一度少年へ近づいたが、彼は驚いて後ずさる。 「俺が怖いか?」 「……大人は信用しない。いや、人間である物全て。」 「特にお前は希少なバードタイプ。市場で売ったら高額な値段がつけられる。」 フィティマは薄気味悪く笑い声を響かせた。 その姿に、少年は部屋の隅に逃げれるだけ逃げる。 「そのために、俺を殺さなかったのか?」 少年の問いに、フィティマは答えなかった。 部屋の角に追い詰められ、少年は身を小さくした。 男が魔力を剥き出しにする。 冷や汗が滴り落ちる。 今まで部屋にいたはずなのに、赤く染まった世界が見える。 亡者達が少年の生を欲しがるようにうめき声を響かせ、手を伸ばしてくるような感覚。 『狂気』…そう呼ぶのに相応しい恐ろしい魔力。 「ぅあ…」 「良い表情だ。」 今度こそ、本当に殺されると思った。 フィティマが手を伸ばすと同時に、少年は自分の頭を抱え、必死に自分を守ろうとした。
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