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浮遊してきた意識に脳は痛みを訴えかける。
「…………いてぇ」
時計を見ると午前三時、日付は変わっている。
痛みの根源を見ると脇腹に一つの傷。膿みかけているそれは、恐らく昨日の戦いの最後にかすった、あの弾の傷だ。
昨日のうちに気付かなかったのは、アドレナリンのせいか、それとも苛立ち、疲れか。
そのすべてかもしれないな。
とりあえず俺は薬の入った段ボールを取り出し、消毒液を脱脂綿につけて傷口につける。
「…………ウッ」
傷口が痛い、というか熱くなる。
次にガーゼに化膿止めの軟膏をつけて貼れば、一応の応急処置だ。
流石にこの刻から救護班の手を煩わすのは申し訳ない、と自分でやってみたが、なかなか痛みは収まる気配を見せず、ズキズキと傷を刺している。
この様子ではもう一度眠ることもできそうにない、と理解した俺はベッドに腰掛け、サイドテーブルからカードケースを取ると、血を落とす作業を始めた。
爪で塊を取ったり、布で擦ったりすること、二時間。
ようやく本来の姿にもどったそれを見て、ほぅ、と息を吐いた。
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