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そーっと玄関を出る。
「……何してんだよ、誠。」
「うわぁあああっ!?
何でいんだよ美琴!!」
美琴は俺の家の前まで来ていた。
「何で待ち合わせ場所にいねぇんだよ!」
「いや、こっちの方が手っ取り早いと思ったからだ。」
「いやそりゃそうだけど俺にだって心の準備とか色々あんだよ!」
くそっ…美琴はいつも通りなのに、何で俺ばっか緊張してんだよ!
「ほら、さっさと行くぞ誠。」
「ちょ、待てって!
何でお前はそんなに余裕なの!?
まさかお前、昨日自分で言ったこと忘れてんじゃないだろうな!?」
そうでもなきゃ、コイツのこの余裕感はあり得ないだろ!!
「……はぁ……誠。」
溜め息混じりに美琴が振り向く。
「俺のどこに、余裕があると思ってんだよ。」
「お前何言って………」
そこで俺は気付いた。
美琴はさっきから、
俺の目を見て話しかけてこない。
「………俺だってな、さっきっから緊張しっぱなしなんだよ。」
美琴の頬が少し赤くなる。
「……だからお前も、いつも通りにしろ。
俺も緊張してんだから。」
そう言って、美琴は歩き始めた。
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