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しばらく黙っていた美琴だが、再び矢を構える。
小さくキリッと音がし、狙いを定める。
今度こそ…真ん中に刺さりますように…!
パシッという音と共に、再び矢が的めがけて飛んでいく。
トスッ
「…お、おおっ!!
美琴!真ん中!超真ん中じゃん!!」
「誠、テンション高い。」
「だってスゲェじゃんか!!」
二本目の矢は、寸分の狂いもなく真ん中めがけて飛んでいき、見事命中した。
「誠のおかげだよ。」
「え、俺?」
「お前がカッコいいって言ってくれたから。」
…ふむ、今の美琴の状態はあれか、
『好きな人に応援されて元気出た☆』
…という状況か。
「…誠、お前今変なこと考えてないか?」
「いや、全然。」
「…まぁいいや。
ずっと立ってるのも疲れるだろ?
そこのベンチに座ってて良いぞ?」
「あ、サンキュー。」
俺は美琴の後ろのベンチに座った。
その間も美琴は矢を放つ。
…何か…静かだな~…
バスケだったら、体育館走り回って…かけ声出して…ボール投げて…って感じだから…
ここの静かな環境は、何だか不思議だった。
目の前に広がる芝生
心地よい具合の風
そして、美琴が放つ矢の音。
落ち着くというか、眠くなるというか…
久々にリラックスできたな。
再び美琴の後ろ姿を見る。
なぁ美琴、俺の事、ホントに好きなのか?
ずっと前から好きだったって、いつから?
俺…ずっとお前の気持ち知らなかった。
知らない間に、お前のこと傷つけたりしたよな?
俺は…どうするべきなんだ?
お前とは親友でいたい。
でも、お前の事、傷つけたくない。
…だからこそ、真剣に考えるから。
もう少し、待っててくれよ。
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