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いつも通りの帰り道を二人で歩き、いつの間にか俺の家に着いていた。
「じゃあな誠、また明日。
今日は俺の部活につき合ってくれてありがとな。」
「…あ、あぁ…」
そう言いながら美琴は微かに笑みを浮かべ、その場を後にしようとした。
「…あのさ美琴!」
「…ん?」
とっさに俺は呼び止めた。
「…俺…お前のこと、今まで…ただの親友にしか考えてなかった。」
俺が俯きながら話しているのを、美琴は黙って聞いてくれている。
「…でも俺…お前が本気で俺のこと好きなんだって分かったから…、だから…」
「……………………」
………だから………っ!
「…ちゃんと…真面目に考えたいから…いつまでかかるか分かんないけど…待っててほしいんだ。」
美琴はきっと、たくさんの勇気を振り絞って告白してくれたはずだ。
だからこそ、もっと早く気持ちに答えてあげるべきなんだろうけど…
大切な親友……美琴だからこそ、時間をかけてゆっくり考えたい。
そう思ったんだ。
「…………ふははっ!」
「………!」
突然、美琴が笑い始めた。
「おまっ…!
人が真面目に言ってるときに…!!」
「いや、ごめんごめん。
まさか誠がそんな風に考えてくれるとは思ってなくて。」
ふぅーっと息を吐き、こっちを向く美琴。
「…うん、ありがとう。
俺、いつまでも待ってるから。」
じゃあな、と言い残し、美琴は帰って行った。
「…こちらこそ、こんな俺を好きって言ってくれて、ありがとな、美琴。」
本人に直接言えなかったのは、ただ単に恥ずかしかったから。
でも、いつかは言おう。
いつになるかは分かんないけど
とりあえず、自分の気持ちと向き合わないとな。
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