第3話

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「よーし、10分休憩!!」 …っだぁーっ!! 疲れたーっ!! バスケ部の練習って運動部の中で一番辛いと思う。 ま、好きだから全然苦にならないけど。 「先輩、お疲れ様です! ドリンクどうぞ!」 「お、祐介サンキュー!」 祐介はホント良い後輩だよ。 いつも俺の分のドリンクも持ってきてくれる。 「次、先輩と組んでも良いですか?」 「おー、良いぜ。」 しかも礼儀正しくて人懐っこい。 まぁなんだ、所謂、可愛い後輩ってやつ。 …あ、そういえば祐介って… 「祐介、最近彼女とはどうなんだよ?」 「ふぇえ!?いいいいきなり何ですか!?」 コイツの反応はホント面白いな。 祐介には、中学の時から付き合っている彼女がいるらしい。 部活帰りに二人で帰っているのを度々目撃されている。 …あ、そうだよ、コイツがいるじゃんか! 相談相手! 「あのさぁ祐介、好きな人といる時ってどんな感じなの?」 「…え、先輩好きな人いるんですか?」 「…いや、えっと、いないけど…。 あ、そうそう!俺の友達がさ、幼なじみに告白されたらしくてだな。 この間相談されたんだけど、俺、恋愛したことないから分かんなくてな!」 「あー、なるほど!」 …つくづく思う。 俺って嘘つくの下手くそだなって。 そしてそれを簡単に信じちゃう祐介の将来が心配だ。 「んー、最初は緊張しっぱなしでしたけど…最近はそうでもないですね。」 「…え、普通さ、好きな人と一緒にいたら、ドキドキしたりするもんじゃないのか?」 祐介はドリンクを一口飲み、少し考え始めた。 「…もちろん、一緒にいて嬉しくない訳じゃないですよ? 幸せだし、楽しいし。」 「…じゃあ何で?」 うーん、と言いながら顎に手を添えて考える祐介。 「…一緒にいることが…もう当たり前みたいになったからですかね?」 祐介のその言葉を聞いた瞬間、心臓が飛び跳ねた感じがした。 それはまるで 俺と美琴みたいだと思ったからだ。
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