140人が本棚に入れています
本棚に追加
「お疲れ様でしたー!」
「お疲れ様っしたー!」
長い練習も終わり、俺は一人でトボトボと帰っていた。
そんな俺の頭の中は、祐介の言葉ばかりが流れてて…
「まぁ確かに…一緒にいるのはもう当たり前みたいにはなっちゃってるけどさ…」
だからって、俺は別に美琴の事…
…もしかして、俺が忘れちゃってるだけなのか?
ホントは美琴の事好きで、俺が気付いてないだけなのか…?
「…何で俺…美琴と一緒にいるんだっけ?」
一緒にいることが当たり前すぎて、そんな事も忘れてしまっているようだ。
何がきっかけだったんだっけ……?
そうこうしているうちに、あっという間に自分の家の前。
家に入ろうとしたその時
「あれ、誠?」
「…あ、美琴。」
買い物帰りだったんだろうか。
買い物袋を持った美琴がいた。
「部活帰りか?お疲れさん。」
「あ…あぁ。」
今まであんな事考えてたもんだから、まともに美琴の顔見れねぇ……。
「なんだよ、下向いちゃって。
疲れてんのか?だったらこれやるよ。」
「…え……」
美琴が差し出したのは、俺の好きなチョコバー。
「たまたま見つけたんだ。
誠、これ好きだろ?いつも食べてるし。」
「あ、うん…。ありがと…」
もしかして美琴…俺が今日部活だって知ってて…わざわざ買ってきてくれたのか…?
いやいや、それは良いように解釈しすぎだ。
大体、何でそんなこと考えてんだ俺。
美琴から貰ったチョコバーを握っている右手が、少し熱くなっているような気がした。
最初のコメントを投稿しよう!