第3話

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「そ…そういや弓道の試合、もうすぐだよな。」 「もうすぐったって、まだ二週間もあるぞ。」 クスッと笑う美琴。 「練習はどう…なの?」 「うん、いつもより気合い入れて頑張ってるよ。 選抜メンバーも決まったしね。」 「へぇー…。もちろん、お前は出るんだろ?」 「うん。あと一年生が二人。 それと、女子は斎藤と…二年と一年が一人ずつ…だったっけな?」 ……また斎藤さんかよ……。 「んで、誠は応援に来てくれるの?」 「え………、あ、ああ。 一応…部活無いし…空いてるから…」 「そっか。良かった。」 そう言って美琴が笑った瞬間、何かドキッとした。 …ドキ…? 何でだ…? 「つか、お前帰らなくて良いのか? 買い物…頼まれてたんじゃねーの?」 「ん?ああ、それはそうなんだけど、誠のこと待ってたんだ。」 「………へ?」 「そのチョコバー、渡したかったから。」 …え? てことは…やっぱりわざわざ買ってきてくれてたのか? いつ帰ってくるかも分からない俺のこと…待っててくれてたのか…? 「んじゃ、俺も帰ろうかな。 誠、また明日な。」 「お、おう…。」 「明日提出の課題、忘れるなよ?」 「ああ………って…ああ!?忘れてた!!」 「はぁ…写させてやんねーからな?」 「え!ちょ!ひでえ!」 ホント…こいつといると落ち着く…。 好きとか…そんなの関係無しに。 美琴と…ずっと一緒にいたい。 そう思ったんだ。
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