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夕飯を食べ終えた俺は、すぐに明日提出の課題をやり始めていた。
ちなみに俺の苦手な数学。
「くっそぉおお…何で課題に応用問題も追加するんだフザケンナよあの野郎…」
ボソボソと文句を言いながら足りない頭で必死になって考える俺。
なんて惨めな。
「…あ、そうだ、チョコバー…」
まだ食べてないんだった。
ふと思い出し、引き出しから取り出す。
袋を開けると、チョコの甘い香りがただよってくる。
最初の一口から、それはもう至福の一時。
「…ふふん、やっぱり旨い。」
美琴は甘すぎるって言ってたけどな。
「……………」
チョコバーを見つめると、何故か無性に美琴にメールしたくなった。
「……お礼のメール……」
携帯を取り出し、メール画面を開く。
『チョコバー今食ってる。
ホントにありがとな。超旨い。』
…うん、ぶっちゃけこんな内容わざわざメールするほどじゃないんだけどな。
何か美琴に連絡を取りたくなった。
何でか分からんが。
送信すると、すぐに返事が返ってきた。
『お礼ならさっき散々聞いたけど?(笑)
そっか、美味しいならなにより。
課題ちゃんとやってるか?
それ食べながら頑張れよ。』
相変わらず優しいな、コイツ。
そうだ…まだ応用問題が残って…
それを思い出し、落胆としていると、もう一通メールが届いた。
「…あれ?また美琴から…」
『どうせお前の事だから、応用問題が分かんなくて手こずってるんだろ。
どうしても分かんなかったらこれ写せ。
でも、ちゃんと読んで理解しろよ?
んじゃ、おやすみ。』
下の方を見ると、画像が添付されていた。
画像を開いてみると、たぶん美琴のノートだろう。
応用問題の解答が書いてあった。
「コイツには何でもお見通しってわけか…」
ホント、アイツには適わない。
たぶん、この先ずっと。
この先っていつまで続くんだろうか。
いつまで美琴と一緒にいるんだろうか。
「…って、そんな事考えてる場合じゃねーっての。」
『サンキュー美琴。
おやすみ、また明日な。』
送信…っと。
美琴が送ってくれた画像を見ながら、再び俺はシャーペンを手に取った。
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