第4話

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ゾロゾロと選手達が出てくる。 おー、なんか皆男前ですな。 んっとぉ……美琴は…… あ、美琴いた。 美琴は選手の一番後ろから出てきた。 んー、美琴が一番似合うな、袴。 背もデカいし。 そんな下らない事を考えてると、最初に出てきた選手が弓矢を構え始めた。 お、そろそろ始まるのか。 一気に静かになる会場。 人の視線が一気に選手へ流れこむ。 パンッ!という音が響き、矢が的に向かって放たれる。 だがその選手の矢は、惜しくも少し真ん中からずれていた。 いや、でもスゲェな…。 この日の為にかなり練習してきた事が伝わってくる弓矢だった。 今回の試合は1人の選手が二回ずつ弓矢を討ち、学校ごとの総合点で決まるようだ。 ここ最近で分かったのは、弓道ってのはゆっくり時間が流れていく。 でも、刻一刻と美琴の番が近付いていた。 (……ん………) さっきまで凛と立っていた美琴が、少しだけソワソワし始めた。 いや、周りから見たら分かんないくらい僅かだけどな。 俺には分かる。 アイツでも緊張するんだな。 (美琴……頑張れ…!) そう念じた時、ふと美琴がこちらを振り向いた。 (あれ…?俺に気付いてる…のか?) とりあえず手を振ってみた。 すると美琴は小さく笑い、前へ向き直った。 (…あ、やっぱり気付いてたんだ。) 俺の念が……通じたのかな…? …んなわけねーか、たまたまか。
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