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結局その後、斎藤さんが戻ってくることはなく、そのまま試合が続けられた。
俺はというと、二人のことが気になって集中できなかった。
早く終わってほしい。
美琴に会いたい。
そんなことばかり考えてた。
~試合終了後~
結局、他の試合に全く集中できなかったせいか、知らない間に試合が終わっていた。
試合が終わったら、出口で美琴と待ち合わせしている。
俺は1人で待っていた。
しばらくすると、ロビーの方から美琴が出てきた。
「美琴!こっちこっち。」
「…あ、誠ごめん、待たせたか?」
「全然平気。早く帰ろうぜ。」
「あー…そのことなんだけどさ…」
美琴は出口では他の人の邪魔になると言って、建物の裏に回ろうと言った。
建物の裏は誰もいなく、とても静かだった。
「…んで、なんだよ、早く帰ろうぜ。」
「いや、悪いんだけど、誠、先に帰っててくれないか?」
「……は?何でだよ…」
美琴は一瞬躊躇いながら答えた。
「いや、実はさ、さっき斎藤倒れただろ?
斎藤のやつ、今日の試合が不安で、昨日よく眠れなかったみたいなんだ。
それがきっと原因なんだろうけど、貧血気味でさ。
んで、本人は1人で帰れるっていうんだけど…やっぱり心配だろ?」
…んだよそれ………。
「じゃあ俺も一緒に…」
「いや、斎藤の家は俺らと反対方向だし、誠は先に帰れ。
明日は部活あるんだろう?
斎藤送ってからじゃ遅くなるし、な?」
美琴が俺のことを気遣って言ってくれてんのは分かる。
頭ん中では理解してる。
…だけど……
だけど……………
──嫌だ──
美琴を斎藤さんに渡したくない。
二人きりにしたくない……。
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