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「それにさ誠、今日は夕方から雨も降るみたいなこと天気予報で言ってたし…早く帰りな?
お前、雨に濡れるの嫌いだろ?」
……それでも……いつもお前が傘に入れてくれたじゃんか…。
「…………んでだよ………」
「………誠……?」
ヤバい。
俺の腹の中、きっとドロドロだ。
「……んで斎藤さんを優先するんだよっ!!!」
やめろって。
「俺!!!今日ずっと……ずっとお前のこと応援して、一緒に帰るのも楽しみにしてたのに!!!」
あれ……
「誠落ち着け……」
ダメだ………止まんない…………。
「………お前が好きなのは俺じゃねーのかよっ!!!!!!!」
俺の声が大きく響いた。
俺…………ホント何言って…………
「………………誠。」
顔を上げると、すぐ近くに美琴の顔があった。
「……………あ……」
怒ってる顔だ。
その時、美琴が一歩ずつこっちに歩み寄ってきた。
思わず後ずさりしたが、後ろは壁で、すぐに逃げ場所を失った。
「………美……琴……?」
「……そうだよ、俺が好きなのはお前だよ、誠。」
美琴が俺の顔の横に手をつく。
「…誠はいつになったら俺に返事くれるんだよ。」
───………あ………。
「…俺さ、確かに返事はいつでも良いって言ったよ。
でもいつまで待てば良いんだよ。」
少しだけ美琴の顔が近づく。
「…返事はくれないくせに、そうやって俺の事を束縛したがるのは何で?」
それは…………
「……っかんねーんだよ……」
バカじゃねーの俺。
何で泣きそうな声なわけ。
「お前の事…好きなのかとか分かんねーんだよ……っ!!!」
スッ美琴の手が延びてきて、俺の顎をとらえる。
「……じゃあ……試してみるか?」
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