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~帰り道~
傘折りたたみ傘で相合い傘しながら帰る。
なんて異様な光景なんだ。
「誠、今日の小テストどうだった」
「…美琴、人には聞いて良いことと悪いことがあるんだぞ。」
「駄目だったのか。」
「ほっとけ。」
いつもと変わらない帰り道。
それが心地いいのは内緒。
「……誠、変なこと聞いても良いか?」
「あ?なんだよ。」
いきなりなんだよ。
美琴が急に真面目な顔になった。
…いや、こいつはいつも真面目な顔してるけども。
「誠って……好きな人いんの?」
「……あのさ美琴、男子高校生が相合い傘しながら恋バナってどうよ。」
いきなり何を言い出すんだこいつ。
「美琴がそんな話してくるなんて珍しいな。」
「そうか?なんとなく気になっただけなんだが…?」
俺も美琴も、彼女がいた時がある。
俺はなんとなく長続きしたが…美琴はいつも早かったよな、別れるの。
「あー…好きな人はいねーな。」
「…ふぅん…」
「なんだよ、その反応。」
「いや、別に?」
美琴が少し笑った。
おお、これは珍しい。
「あ~…その、…お前は俺の親友だし、なんだ、今はお前がそばにいれば楽しいし、彼女はいらないかな。」
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