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ザァー
朝から降っていた雨がよりいっそう強くなる。私は何時間、雨に打たれ続けているのだろう。
そのせいで、髪も下着も体にベッタリとくっついていて、気持ち悪い。
…何故こうなったのだろう。家の前に捨てられる。
理由は…私が母にとっていらない子だから。
そろそろ体が冷たくなってきた。
そりゃ今12月だもん。
「…寒い」
単語をつぶやくが、よりいっそう寒くなる。
私のこの状況を見て、近所の人は
‘‘大高さんのトコロ、ヒドイわね”
‘‘9時頃からずっとよ。風邪引かなきゃいいけどねぇ”
と他人事のように喋っている。
…ヒドイとか思うなら、汚い物を見る目で見ないでよ。ウザいから。
ザァー
…止まないな、雨。
どうしよう。このまま一晩過ごすのかな…
雨の中で…眠れるかな。
プツー。ポツー。
うるさい雨の音が、規則的な音を立てる。
こんなに急に雨がやむ?
そう思った私は、顔を上げる。
「…あ。」
そこには、傘を私にさしてくれて立っている人がいる。
「寒くない?」
「大丈夫です」
大丈夫っていうのは嘘だけど、どうしても…嘘をついてしまう。
…今まで嘘をついてきたからかな?
「くしゅん」
…大丈夫って言ったそばから。
…私のバカ。
「家、ここだよね」
そう言って、彼は私の家を指す。
「そうです」
「家出中?」
苦笑いを浮かべた彼は、目線を私と同じ高さにしてしゃがむ。
私に傘を貸しているから、全身濡れている。
…寒いですよね。…ごめんなさい
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