1人が本棚に入れています
本棚に追加
「…リビングに行った方がいいよね」
私は部屋着に着替え、リビングへ向かう。
「…雨宮さん」
「あ、終わった?…こっちにおいで」
そう言って手招きをする雨宮さん。その指示どうりに動く。
「はい、どうぞ」
「…わぁ」
机の上には、美味しそうなご飯が並べられていた。
「9時30分だし、時間無かったからテキトーだけど」
…コレがテキトー…。すごい上手だし、オムライスとか絶対、手、こんでるでしょう。
最近、コンビニで買ってきたモノばかりだったから。…嬉しい。
「いただきまーす」
「いただきます」
パク。 パクパク。
…すごく美味しい。
「どう?」
「…美味しいです」
私が返事をすると、雨宮さんはニコッと微笑む。
…和む。
「あ、雨宮さん」
「ん?」
「わ、私に作り方を教えてください」
何故だか分からないけど、口にしていた。
「いいよ。けど」
「…けど?」
「大高さんは俺の家族になったんだから、敬語は無しね」
人差し指をピンと立てて笑顔で言う雨宮さん。敬語無しっていわれても…。雨宮さんは…。
「年上だし、親役じゃないんですか?」
「親でもいいけど…。俺まだ24歳だから。お兄ちゃんの方がいいかな?」
「じゃあ、雨宮さんにとって私は妹…ですか?」
‘‘うん、そうだよ”
と、言いたそうな顔をしながら、
首を思い切り縦に振る雨宮さん。
…やっぱり…かわいい。
「妹だからお兄ちゃんのコト
‘‘雨宮さん”じゃあおかしいよね」
…確かに…じゃあ。
「お兄ちゃん?」
「それもいいけど…俺、下の名前‘‘徹”っていうんだよ」
つまり、下の名前で呼べと…。
「と、徹っ」
「はーい。大高さんは、下の名前なんて言うの?」
「恵です」
「恵か。…恵、よろしくね」
な、名前を呼ばれた。男の人に呼ばれるの…初めて…。あと、呼ぶのも初めて…。
「は…い」
雨…徹と私は兄妹になりました。
最初のコメントを投稿しよう!