第1章 (2)ある日の面接

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「だからなんで男がいるわけ?」 アキラはずっとブツブツ言っている。 「女子専用物件だって言ったよね?」 BMXのこと以外はわりと無関心なくせに、私のことは心配らしい。 本当に1年間、遠距離で私をほったらかしてた人だっけ? 「ゲイなんだって。だから、アキラに会って欲しいんじゃない」 同居人候補の一人はマリーという黒人の女の子。 音楽系の専門学校に通っているらしい。 もう一人の子の名前はルイ。 ハリウッドでメイクアップアーティストになるために、オハイオから出てきたそうだ。 彼は……そう、彼は男の子。 陶器のように白い肌が綺麗な、長身の男の子。 マリーとルイはもともと同じカフェの常連で、1年ほどすでに一緒に住んでいる友達同士。 前にいた中国人の留学生の女の子が帰国することになり、部屋が空いたらしい。 私は既に部屋を見に行き二人にも会い、この物件が気に入った。 テツヤさんが探してくれたリストの中で一番綺麗だし。 治安が悪いエリアからは離れている。 アキラのフラットまで自転車だったら5分以内で行けそうだ。
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