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「なんで!?」
「どうしても」
「何のためにこの国にいるわけ?」
「語学の勉強です」
「じゃなくて、俺のためだろ?」
……いけしゃあしゃあと、よくそんなセリフ言えるよね……
ってまあ、ほぼ間違ってないんだけど、さ。
アキラはちょっと怒ったような、でも甘い笑みを残したような表情で私を見ている。
少し伸びた黒髪に、こげ茶色の瞳で目尻だけがかすかに二重。
すっかり大人の男っぽくなった頬と、対照的にやわらかそうな唇。
コットンの服を適当に着ました的な力の抜けたファッション。
足元の赤いシューズだけがやけに派手だ。
ここはアメリカ、カリフォルニア州の最大都市、ロサンゼルス。
目の前の彼氏と暮らすためにこの国へ来ました。
水野莉子、18歳。
矢上明良、17歳。
日本から遠く離れたこの場所で、たったふたりきり。
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