第1章 (2)ある日の面接

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ロサンゼルスは海から近い街。 春でも十分にあたたかく、日本の磯っぽいのとは違う潮の香りがする。 日向では光がきらきらと輝き、明るく照らされた建物は映画のセットみたいに洗練されて見える。 「もう決まりかけてるって、どういうこと?」 「アキラがいいよって言ってくれたら、もう引っ越すって言ってあるの」 「なんだよー俺待ちって」 私とアキラは話しながら街を歩いていた。 先方と待ち合わせのカフェへ向かうところだ。 アキラはプロのBMXライダーと言っても、まだ2シーズン目の駆け出し。 ロスに住んで平日は近郊のパークで練習し、週末に大会などで遠征。 金曜に出て、日曜か月曜に帰ってくる。 この繰り返し。 生活は大会の賞金、それからスポンサーからのわずかな金銭支給でまかなっている。 私は9月のコミカレ入学までは語学学校に毎日通学している。 学生ビザだからバイトできないし。 親からの仕送りと、日本国内で貯めに貯めてきた預金を切り崩す毎日。 はっきり言ってお互いに貧乏だ!
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