第1章 (2)ある日の面接

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おかげで私は放課後ダウンタウンに繰り出し、安い食材を調達に行くことを覚えた。 リトルトーキョーはこじんまりしているけれど、日本の食材屋さんが数軒ある。 日系のスーパーより若干安いのがありがたい。 梅干しにらっきょうに乾物に、日本のカレールウ。 ここでひととおりのものはまかなえる。 頑張って歩けばチャイナタウンも続けて行ける距離。 蒸しまんじゅうや胡麻団子を店頭で買い食いする感じが、横浜中華街を思い出す。 ごま油やコチュジャンなど中華調味料の他に、お茶は欠かせない。 アキラも自炊をしてたけど、疲れているとホットドッグとコーラの日があるのも知っている。 一応プロアスリートなのに。 そもそも、アメリカで売ってる食べ物はケチャップ味ばっかりだし、ジュースは果汁が一滴も入ってなさそうな蛍光色。 彼らは野菜を摂取しなくて平気なの? そんなわけで、暇ができると彼の部屋でだいたい料理している。 日本にいる間は母親に甘えてお手伝いぐらいしかしてなかったのに、今じゃあっという間にアキラの飯炊き女だ。 まいっか。いつかは結婚する予定だし。 私がこの国に来た以上、変なもの食べさせたくないしね。
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