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本編終了後、黒一面になったスクリーンに、下から、総監督の肩書きとともに僕の名前が上がってきて、そのまま画面上部へと流れ、消えていった。
エンドロールに記されたスタッフは僕一人だけだ。監督も脚本も撮影も音楽も、全部、僕がやったのだから。
リモコンの停止のボタンを押して、上映を終了する。
後悔と、脱力感と、恥ずかしさで、席から立てない。
そのまま、前に突っ伏して机に額を押しあてた。
それなりに考えて作ったつもりだったのに。
自分の作品を大きなスクリーンで見て、こんなにダメージを受けるなんて。
二度と映画は撮らない方がいいかもしれない。映画研究部も退部しよう。才能がかけらも感じられない。いてもムダだ。僕なんかが映画を作ったら、今度は、学校中の笑いものになる。
無意識のうちに、僕はうなっていた。頬が濡れているのも感じる。
自分の映画のあまりの不出来さに僕は泣きだしていた。
と、自分のうなり声の他に、その音が聞こえてきた。
ぱちぱち。耳に入ってきたのは、僕以外の誰かがしている、拍手の音だ。
驚いて立ち上がり、室内を見回した。
スクリーンに集中するために明りを消した視聴覚室の片隅に立って、その人は僕の方をむき、拍手を続けている。
誰だ。ここには僕しかいないんじゃなかったのか。小走りに壁まで行って、室内の蛍光灯のスイッチを入れた。
そして、光が満ちた室内で、小柄で内気そうな、おっとりした雰囲気の少女が、僕に微笑みかけ、
「監督。素晴らしかったです。もしかして、これは処女作ですか?」
僕が気絶しそうな言葉を口にしたのだった。
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