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あの子は、不思議な子だった。 作品はそんなにレベルの高いものではなく、どこかで聞いたことのあるような設定ばかり。 だから、初めは興味など全くなかった。 だけど。 「サイレント・マダー」 もう、消してしまったらしい作品。 直訳すると、静かな殺人鬼。 内容は大人しい男が快楽殺人を繰り返す。 男は決して捕まらない。 なぜなら、無関係な人間を人気のない場所で殺しているから。 だが。 とある女子高生にその犯行を見られてしまう。 口封じに殺そうとするが、驚くことに彼女はその殺人に協力すると言う。 男は渋々了承し、奇妙な関係が始まった。 そんな話だ。 そんな物語、どこにでもあると言われればそうかもしれない。 でも、彼女の紡ぐ言葉、更には女子高生の複雑で繊細な心境を描きながら、猟奇的で尚且つサイコキラーな男の心境も的確に描いている。 僕は彼女の描写力に舌を巻いた。
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