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何もないテレビとベッドしかないこの部屋で中年にさしかかった男が携帯と睨めっこするシュールさ。 どうにか当たり障りのない文章を打ち込みコメントをする。 それから、数分。 真ん中に置いてある樹の机の灰皿に煙草の灰を落としたその時。 また、メロディが。 ラファエルさんからコメントが来ました。 サイトに接続しコメントを確認する。 「的外れなことを書いてなくてよかったです( ̄▽ ̄)本当に面白かった。ブラックユーモアに何度もクスリとさせていただきました。本さん♪」 初めて名前を呼ばれた気がしてくすぐったい気持ちに駆られた。 それから、僕はもう一冊あった彼女の作品に目を通す。 処女作だったせいか所々、荒削りな部分を垣間見る。それでも、育児放棄し、妹ばかりを可愛がる両親に復讐する姉の心の動きや、妹の無邪気すぎるくらいの天真爛漫ぶりがよく描けていた。 最後、彼女は妹を殺す際、言った台詞がある。 「選ばれて羨ましい」 その台詞には、今迄の淋しさや悲しみ、怒りが凝縮されてる気がして。
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