……第1章……

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 俺としては不本意な同行者と、表面上笑顔で接しながら危険な草原地帯を歩く。  青年──<ヒーツ・クリエスト>と名乗った彼とは、あまり会話をすることは無かった。  俺からは全く話し掛けないし、ヒーツは時折俺を横目で見やる時があるものの、基本は俺の隣を無言で歩き続けた所為だ。  彼の立場が故に、俺を危険から護る為に周囲へ注意を向けていたことが一因だろうが、護ってくれるのなら大分手間が省けて万歳だし、会話も無いことでボロが出る可能性も減る。  まぁ、全く会話が無い訳ではないので、名前位は名乗り合ったし、歩くならどれ位の時間が掛かるかとか、魔物はまた行く手を阻むだろうか、とかは話した。  ……にしてもだ。コイツ、会話が苦手なのか?と思う。  ここまで世間話に値する会話は皆無だ。共にいる時間は少ないとはいえ、こうして2人で歩く分には多少あってもおかしくないんだが。  隣を見ては口を開きかけ、躊躇って閉じる表情が視界の端で幾度か捉える。  僅かな表情の変化だから普通なら気付かないだろうが、残念。  俺は普通じゃないのでとっくに気付いてます。  面倒だから、気付かないふりのまま終わらせようかと思った。  が、ちょっと興味が沸いてしまった。あまり良くない行動なのは分かってはいるが、長年に渡る【邪神】の調教や抹殺のおかげで、面白そうなことや楽しそうなことをつい求めてしまうことがある。  口元がにやついたように弧を描こうとするのは理性で抑え、訊ねる為に口を開いた。
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