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【邪神】を抹殺し、新たな【邪神】を生み出した頃、俺は火山の頂上から少し上昇した所で浮遊していた。
眼下に写る人間が住む街を見つめながら、俺は思考を巡らす。
……やっぱり、この世界も今まで似たようなもんか。
″何をしてもいい″と勘違いする【邪神】が犯した行為は。
何なんだろうな、本当に。……陰で動き、人々に軽く影響する位なら規則に触れることはねぇのに……。
そこまでする程の叶えたい野望なのか。
存在を誰かに認めてもらいたいのか。
いずれにせよ、俺にとっても、世界にとっても迷惑極まりない。
「どんだけあるんだか、こんな世界は」
軽く眉を寄せ、苛立ちに似た呆れの声が思わず漏れる。
溜め息をつくことさえ億劫になる程、俺は多くの世界を訪れた。
どの世界も異なる自然が広がり、独特の文化があり、特色があり、生物がいる。
中でも【人間】が存在し、何らかの武力が蔓延る世界はかなりあった。
そして6割程は【邪神】が君臨していたという事実。
同時に、偽善者が表舞台に立つ謎。
……″悪ある所に正義あり″、ってか。
「黙れ」って言いたくなるな。いや、もう過去に何回か言ったな。
…………兎に角。
まだまだ【邪神】が堂々と暴れている世界は沢山ある。
アイツ等が己のことをハッキリ理解しない限り、俺の仕事はまだ終わらない。
ま、好きに生きながらっていうのは変わんねぇけど。
そろそろ次の世界に行くとしますか。
「さ、次はどんな世界だろうな」
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……序章【完】……
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