……第1章……

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*  新しい世界に突入し、初めに受けた印象は──″またか″だった。  空気に触れた瞬間から、地球には無い特殊な成分を感じる。……名を【魔力】。 「……″魔法の世界″か。これで何度目だよ……。しかも高確率で勇者や最強少年がいんだよな」  思い切り顔をしかめ、苛立ちの雰囲気を隠さず溜め息混じりに呟く俺を誰かが見ていたなら、一切関わることなく逃げていくことだろう。  物好きなら話は別だが。  だが、生憎今俺がいる大草原には人の気配を一切感じられない。  …………ま、明らかに狂暴そうな大型のイキモノがうようよと闊歩してたら当たり前かもな。  俺の5m先にいる体長20m程のイキモノなんかはゾウに酷似しているが、頭には3本の鋭く太い角、皮膚は紫色、口から垂れる唾液は薄汚れた緑のような色をしており、唾液が付着した草は一瞬にして枯れた。  ……逃げようとしても、あの長い鼻で捕まえて毒まみれの口に放り込んだり、頭の角で刺すって訳か。  瞳だけを動かすと、こんなイキモノは序の口だと言わざるを得ない程の光景が広がる。  大草原にいる割にはどいつもこいつも草食ではなく肉食なのか、等と疑問を胸の内で浮かべていると、背後に俺へと向けられる圧力と視線を感知した。  うげ、……来た。  この妙に気に入らない感覚も、今までに何度も、何度も様々な世界で感じてきた。  ……俺を″餌″として定めたイキモノの気配。  ジリジリと強くなる圧と貪欲げな視線に、俺は目を鋭くする。 「うざってぇな……」  1つ愚痴を零すと同時、背後のイキモノは動いた。  突然現れた俺を覆い尽くす影と、背後に感じていた気配が上に動いたことを間を取らず理解すると、迎撃をする為の準備を……。  ……と、思ったんだが。
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