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カーテンの隙間から差すうららかな春の日差しを浴びて。
佐藤飛悠は焦っていた。
親元を離れ新生活が始まる初日。
朝、目が覚めると時計はすでに8時半を回っていた。
「はっ・・・!はぅぁ!」
寝癖のついたボサボサの頭はそのままに---急いで身支度を整え、2階の角部屋から飛び出す。
お世辞にも綺麗とはいえないアパートだが学生の一人暮らしには丁度いい。
というか贅沢すぎる。
カン!カン!カン!カン!!
金属製の錆びかけた階段を3段飛ばしで駆け下りて自転車を止めているスペースへとたどり着く。
準備からここまでの時間わずか4分たらず。
自転車の籠にカバンを置きながら飛悠はつぶやいた。
「飛ばせばなんとか間に合うか?」
言いながら制服のズボンのポケットに手を入れる。
探るが大切なアレの感触がない。
「チャリ・・・の鍵・・・。」
飛悠は1度置いたカバンを手に取りゆっくりと階段へと向かい一言。
「こりゃアウトだな・・・。」
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