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飛び散る鮮血。
顔を抑え悶える飛悠。
カラカラカラ・・・。
離した自転車の車輪が虚しく回りカバンは放りだされ脱いだ上着に優しく桜の花びらが舞い落ちる。
「ひぐっ・・・さ・・さえぢゃ。」
鼻を押さえ倒れながら、上目遣いで出た言葉はあまり聞き取れない。
指の隙間から血が滲む。
「いぐら・・・なんでも・・・がぉはびどび・・・」
懸命に訴える飛悠。
顔面めり込みパンチを発射した本人は仁王立ちで冷ややかな視線を送っている。
時折降ってくる花びらがアクセントになってなんとも綺麗な立ち姿だ。
そんな風情を楽しむ余裕もない飛悠。
母親のすこし後でもう一人の女の子は口を抑えて笑っていた。
鼻の痛みにたえながら多少イラッとする飛悠。
「お・・・」
ゴスッ!
声をあげようとした瞬間、今度は母親から頭にゲンコツをくらう。
「ひぎっ!」
思わず変な言葉を上げる。
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